ひびひびもんもん

日々日々悶々と書き散らしながら

一冊の本の表紙から「心地良さ」と「意味」を読み取る。『ハイドラの告白』(柴村仁)より。

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ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)

僕の通っている大学で「色彩学」という授業があります。最終レポートが「心地よく感じた本の表紙について書きなさい」的なものでした。自分の中では一冊の本からどれだけのデザイン的な情報を読み取れるかが課題で、結構がんばった覚えがあります。その内容をブログ調に書き直してみました。画像と見比べながら読んで頂けたら幸いです。

参考にした表紙が上の画像です。キレイじゃないですか?

 

どこに、どのように「心地よさ」を感じたのか(客観的な根拠も含め)

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この表紙の青に心地よさを感じたのだと思います。この表紙の色使いは一見バラバラに見えますが、よく見ると青が一番多く使われています。色彩学の授業で色の嗜好性を学んびましたが、色の中でも青は好かれやすく、嫌われにくい色でした。僕も例外なくその青に惹かれたのだと思います。

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また、花びらのように色が散らばっている範囲には、青い部分と赤い部分があります。色相的には補色でもなく、類似色でもない青と赤ですが、人に与えるイメージでは相反するものがあります(暖色/寒色、進出色/後退色、食欲UP/食欲DOWN)。その対比に形容しがたい心地よさを感じたのかもしれません。

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花びらのような青、赤について主に触れてきましたが、上部にある多彩な水たまりも魅力的です。本物の水のように様々な色がにじみ出て、互いに色を主張しあう光景が自然に描かれています。その多彩な色が段々と染まり合っていく様に多くの人は惹かれるのではないでしょうか。

 

 

配色の意図(伝えようとしているイメージや視覚効果)は何か

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花びらのように色が散らばっている部分、これは男性/女性を表しているのではないでしょうか。「赤」と書きましたが、色はピンクに近い色が中心で、女性的イメージの強い色です。青も深い、暗めの青が中心で男性的イメージの強い色になっています。

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次に、手前の男性と奥の女性は作中で親戚であり、顔が似通っている。そういう所から二人自身の色に差を作らず同じ色で表現しているのではないでようか。青を使った理由は、作中で青について表紙の男性が言及する場面があったので、こだわりだったのかもしれません。

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最後に、表紙の場面は作中に女性の視点で語られている所で、普段は自分に興味を示してくれない男性が駅まで迎えに来てくれたというそれだけといえばそれだけの場面なのですが、彼女からしてみればこれ以上ないほど幸福な場面になっています。この表紙はそんな彼女の心中を表しているかもしれません。そう仮定すると、上部の水たまりは幸福だけでなく、彼女の困惑や喜び、疑心などの「複雑な感情」を表しているようにも思えてきます。

 

 

いかがでしょうか。個人的には当たってる部分もあるんじゃないかと思っています。妄想もあるでしょうが。正直、本一冊の表紙から「ここまで読み取ることができるのかぁ」と驚きました。色彩学はそんな観点を得られた良い授業だったと思っています。今見ても本当に美しい表紙です。

全三部作です。

 

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